城内病院漢方外来では、漢方専門医による漢方療法を中心に、更年期障害を治療します。その理由は、さまざまな症状が現れる更年期障害の治療に、漢方療法が適しているからです。

もう1つのメリットは、漢方療法は薬の副作用が比較的に少ないことです。
それに対して、一般的な産婦人科でのホルモン補充療法は、高い効果が期待できますが、副作用もあるとされています。

城内病院としては、もっと多くの患者様に、更年期障害の漢方療法を試していただきたいと考えております。

更年期障害に対して処方される漢方薬”で、城内病院漢方外来で更年期障害の患者様に処方される漢方薬を詳しく紹介しています。ぜひ御覧ください。

更年期障害とは

更年期障害の症状で発汗している女性のイラスト更年期障害は、40代後半から50代の女性に多くみられ、女性ホルモンのエストロゲン(排卵前)とプロゲステロン(排卵後)の分泌量の減少が原因とされています。

女性は40代後半から50代になるとだんだんホルモンの分泌量が減少し、約1ヶ月に1回、周期的に繰り返されていた生理が不順になることがあります。

女性ホルモンの分泌量が減少すると生理不順になり、さまざまな身体症状や精神症状が現れます。これを更年期障害と呼びます。

更年期障害の主な症状

身体症状
生理不順、顔のほてり・のぼせ(ホットフラッシュ)、発汗、頭痛、めまい、肩こり、動悸、息切れ、便秘、手足の冷えなど。
精神症状
イライラ感、精神面が関わるドキドキ、憂鬱、うつ状態、不安感、不眠など。

更年期障害の問診・検査・治療について

まず問診にて、生理の周期状態、更年期障害に該当する身体症状や精神症状があるかをお尋ねします。
さらに、病歴、うつ病などの精神症状の有無や服用されている薬についてお尋ねします。

問診をきちんと行い更年期障害と診断されれば、患者様の年齢や症状に応じて、漢方療法、あるいはホルモン補充薬や自律神経調整薬の処方を選択します。

男性の更年期障害について

更年期障害は女性に限ったことではありません。40代~50代の男性にも見られ、最近、メディアで話題になることも多くなっています。

男性の場合は、男性ホルモンのテストステロンとアンドロゲンの分泌減少が原因とされています。
性欲が落ちる、気力が落ちてやる気がおきない、眠りが浅くなるなどの性的・精神的症状が現れやすいことが特徴です。

城内病院漢方外来での更年期障害の漢方療法

漢方薬のイラスト城内病院漢方外来では、漢方療法を中心に更年期障害を治療します。
漢方療法は、更年期障害の治療に非常に効果的で、副作用がホルモン補充療法に比べると少ないことが特徴です。

患者様の更年期障害に漢方療法が適合すると判断した場合、漢方専門医が症状に効果がある生薬が組み合わさった漢方薬を処方します。
1つの漢方薬には複数の生薬が入っているために、さまざまな症状が現れる更年期障害に対して、優れた効果が期待できます。

更年期障害に対しての漢方療法のメリット

  • 1剤の西洋医薬は1つの症状にしか効果がないのに対して、漢方薬は1剤で複数の症状を治す可能性がある。
  • ホルモン補充療法と比較すると、漢方療法は比較的に副作用が少なく安全。
  • ホルモン補充療法の補完として漢方療法を行うことができる。
  • 乳がんを経験した患者様など、今後の発がんの可能性のためホルモン剤を使用できない方 にも、更年期障害治療ができる。
  • ホルモンがまだ分泌されているものの不規則な分泌のために更年期障害の症状が強い方に 適している。

漢方薬の処方について

漢方専門医が行う漢方療法特有の診断法は、「気・血・水」のバランスの悪化を更年期障害の各症状の発現と捉えることです。
具体的には、「気・血・水」のどれに異常があるかの確認や患者様それぞれが違う「証」の特定を行います。
診断ののち、患者様自身に効果があるとおもわれるオーダーメイドの漢方薬の選択を行います。

  • 体調、体質(暑がり 寒がりなど)などをお聞きする。
  • 日常生活習慣や食生活習慣などをお聞きする。
  • 患者様の声の力や脈の力や腹の力をみて、元気が良さそうなのか元気が無さそうなのかを判断する。
  • 皮膚の状態を診る。
  • お腹(腹診)、脈(脈診)、舌の苔の色・舌下静脈(舌診)を触診や視診する。

気・血・水とは

「気」
元気の「気」。目には見えず、形もないが働きはあるもの。 生命エネルギーのこと。元気が無い人には、「気」を高める生薬を含む漢方薬を、体がほてりのぼせる症状の気逆には、「気」を下げる漢方薬を処方。
「血」
体の中を潤し、栄養をあたえてくれる。脈管を流れる主に赤い血液のこと。血虚は体の中に栄養がなく、皮膚自体が乾燥している状態。血虚には、からだ隅々で組織となる「血」を与える漢方薬を処方。
「水」
おもに脈管を流れるリンパ液や細胞外の間質液など「血」以外の身体を潤す透明の体液。むくみやめまいを訴える人には「水」の滞りを推測。偏在した「水」の流れを解消する漢方薬を処方。

「証」とは

「証」は、漢方薬処方の使用基準です。漢方専門医は、人それぞれ異なる体質・体力・抵抗力・自覚症状などの生体反応に現れる病態を把握することで、あなたの「証」を特定します。

つまり、同じ病名・症状でも、人それぞれ「証」が違うのです。患者様それぞれ「証」が違うため、同じ病名・症状でも処方される漢方薬が異なります。

漢方療法はあなたの更年期障害に合わせたオーダーメイドな治療

城内病院の漢方専門医は、五感と経験を駆使して、あなたの「気・血・水」のバランスの確認と「証」を特定します。
そして、あなたの体と心の偏った病態を見極めて、あなたの更年期障害の症状に対応する漢方薬を処方します。

つまり、患者様おひとりおひとりの体質や症状に合わせたオーダーメイドな治療が漢方療法の特徴であり、更年期障害の治療に漢方療法を選択するメリットです。

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