城内病院の患者様にも多く見られる橈骨遠位端骨折。今回は、城内病院での撓骨遠位端骨折のリハビリテーションについて詳しくお話します。

(関連リンク)
高齢者の骨脆弱性骨折骨折について

撓骨遠位端骨折とは?

石につまずき手首に痛みを感じる女性のイラスト橈骨遠位端骨折は中高年女性に多くみられる一般的な骨折です。
骨粗しょう症が進んだ高齢者が転倒して手をついた際には、容易に橈骨遠位端が骨折します。
高所から転落するなどの大きな衝撃が手関節部に加わると、若年者でも骨折することがあります。

橈骨遠位端骨折とはどの部分を骨折することですか?

手首にある2本の骨のうち、太い方を橈骨(とうこつ)と呼びます。橈骨遠位端骨折とは、転倒時に手首の付け根のところの骨が折れてしまうことです。

橈骨遠位端骨折のイラスト

手首側の骨片が手の甲側にずれているものはコレス(Colles)骨折、手のひら側にずれ ているものはスミス(Smith)骨折と呼ばれています。

症状について

骨折すると、手首に強い痛みを覚え、短時間のうちに腫れます。
手首が、フォークを伏せて置いたようなフォーク状変形になる場合もあります。
手に力が入らず、ブラブラして反対側の手で支える必要があります。しびれが生じることもあります。

撓骨遠位端骨折の治療

粉砕の程度が少ない単純な関節外骨折で、徒手整復により良好な整復位が得られるような場合には、ギプス固定による保存的療法が施行されます。

整復とは折れた部位がずれている場合に、元の正常な位置に治すこと。

整復位の保持が困難な場合、不安定な骨折、関節内骨折や粉砕骨折などの場合には、観血的手術(外科手術)が施行されます。

撓骨遠位端骨折の手術後のリハビリテーション

術後早期と術後回復期に、実際に城内病院で行うリハビリテーションを紹介します。

術後早期(ギプス固定中)

  • リラクゼーション・マッサージ:
    血液循環の向上あるいは維持のため。
  • 関節可動域訓練:
    前腕、手指や肩。筋肉の伸張性低下の予防、関節拘縮の予防のため。

術後回復期(ギプス除去後)

  • リラクゼーション・マッサージ:
    前腕、手指や術創部周囲。ギプス固定期間、低下した皮膚(表皮)の柔軟性や制限されていた手首の動きを取り戻すため。腕から手指にかけての筋肉の緊張をやわらげ、手根管の内圧を下げるため。
  • 可動域訓練:
    手指、手首関節や手根骨。可動域を広げて手首の動きやつまみ動作を獲得するため。
  • 寒冷療法(クーリング):
    リハビリ終了後、患部の熱感に対して20分行う。炎症を抑制するため。

撓骨遠位端骨折のリハビリテーションで行う訓練を紹介

自動可動域訓練

ボールを前後に転がすことで、手首の関節の動きを出していきます。

自動可動域訓練の様子1
自動可動域訓練の様子2

手関節背屈の筋力訓練

手関節背屈の筋力訓練の様子1
1. 肘を曲げた状態で棒を持つ。(基本姿勢)
手関節背屈の筋力訓練の様子2
2. 手首を手前にひねりながら、重りを持ち上げる。

注意すること:

  • 手首にストレスが掛かり、痛みが出現する恐れがあるため、無理のないように痛みのない範囲で行う。
  • 最初は一番軽い重り(0.5kg)を使用して、患者様の状態に応じて、徐々に負荷量を上げる。
  • 骨折した手は動きにくいため、しっかり骨折した手を動かすこと。

イラスト出典:一般社団法人 日本手外科学会 手外科シリーズ 13.撓骨遠位端骨折