手根管症候群は、手のひらの付け根部分にある手根管というトンネルの中にある正中神経が圧迫されて、指にしびれが起こる病気です。
出典:一般社団法人 日本手外科学会 手外科シリーズ 1.手根管症候群作業療法士の手根管症候群の術後のリハビリテーションの目的は、患者様の応用動作の機能回復です。
応用動作とは、食べる、排泄する、着替える、身だしなみを整える、入浴する、仕事をするといった日常生活をより快適に過ごすための動作のことです。
今回は、手根管症候群の術後において、城内病院の作業療法士が指導するリハビリテーションを紹介します。
(関連リンク)
城内病院手外科の対象疾患 手根管症候群
理学療法士が指導する手根管症候群のリハビリテーション
手根管症候群になりやすい方は?
手根管症候群になりやすいといわれている方です。
- 仕事、スポーツや趣味で手を使いすぎる方。
- 妊娠、出産後の女性や閉経期の女性。
- 骨折している方や透析をしている方。
作業療法士が指導する手根管症候群の術後のリハビリテーション
手根管症候群の術後の治療プログラムは、スプリント(装具)による固定、合併症の予防、可動域訓練、筋力訓練です。
治療プログラムに則って、作業療法士は患者様の応用動作の機能回復を目的に、リハビリテーションを指導します。
作業療法士が指導するリハビリテーション
- 日常生活での手の使い方の指導。
- 道具の工夫や作業環境設定の工夫の指導。
- 自宅でできる簡単なストレッチの指導。
作業療法士としてのリハビリテーションの目的・ゴール
- 手のしびれの軽減、しびれによる生活障害への対応・改善。
- 巧緻動作(指先を使った細かな動作)の改善。
- 患者様が希望する状態での社会復帰。
作業療法士としてリハビリテーションにおいて気をつけていること
- 麻痺している筋肉の過度な伸張を避ける。
- 神経縫合部の離開(開いてしまう状態)を生じないようにする。
- 脱神経筋(神経の支配を受けなくなった状態の筋)への過剰な負荷を避ける。
手根管症候群の術後の日常生活動作において注意すること
机上に手のひらをつく、かたいドアノブを回すなど手のひらを押し付けるような場合に、痛みや不快感が生じて動作が困難になります。
そのほかにも日常生活動作で注意することを紹介します。
料理の時に注意すること
フライパンを持つ際は片手で持つのではなく、両手で持ちましょう。
立ち上がる時に注意すること
椅子やベッドなどから立ち上がるときは、机やベッドに手をついて立ち上がるのではなく、手すりやベッド柵を掴んで立ち上がりましょう。
物を持つ時に注意すること
カバンは出来る限りショルダーバッグやリュックサックを選んだ方が良いです。
荷物も腕や肩に掛けて持つ、あるいはカートを使用した方が良いです。
パソコン使用時に注意すること
キーボードを打つ際は手首の下に丸めたタオルを敷いて、手首を曲げないようにしましょう。