ウィスコンシンカードソーティングテスト(Wisconsin Card Sorting Test; WCST)以下WCST、WCSTとは遂行機能を評価するための検査です。
まず、WCSTを知ってもらう前に遂行機能障害とは何か
遂行機能障害とは
物事を順序立てて実行することが難しくなり、仕事や家事などの段取りが悪くなります。
1つの行動なら出来ても、2つ以上の行動になると同時にはできないということがでてきます。
WCSTは遂行機能障害の検査法の1つ
前頭葉の機能である抽象的な思考を評価するための神経心理学的検査です。
WCSTでは、遂行機能の中でも、状況が変化した時にどの程度柔軟に対処できるかの能力を評価できます。
WCSTの検査方法とは?
最初に以下のような種類の図形のカードを被験者に呈示します。
図形の色:赤、緑、黄、青
図形の形:丸、三角形、星型、十字型
図形の数:1~4個
分類フェーズ
図形の色・形・数の3種類の分類ルール(例:図形の色で分類する)があらかじめ決まっています。
その後、被検者は表示されたカードを1枚ずつ分類していきます。被検者が判断した分類が正しいか否かだけが画面に表示されます。
類推フェーズ
被検者は、表示された分類が正しいか否かの情報から、表示された分類ルールを類推していきます。
何度もカードを分類した結果の成否を告げられていると、少しずつ被検者は分類ルールが分かるようになります。
順応・学習フェーズ
分類ルールが分かると正答率がアップしてきますが、途中で分類ルールが突然変更されます。
被検者が、新しい分類ルールを学習するためにかかる時間や、学習の際に生じるミスの数を解析して点数化します。
WCSTの評価方法について
学習できた分類ルールの数、保続(被験者が自分の考えた分類ルールに固執し続けること)数で評価します。
WCSTでは、以下を満たす場合に遂行機能障害が疑われます。
- 学習できた分類ルール数が3以下
- 誤った保続数が10以上