「廃用症候群(はいようしょうこうぐん)」という言葉をご存じでしょうか? 病気や怪我の治療のために、過度に安静な状態が続くことで、身体の機能が低下してしまう状態を指します。
廃用症候群は進行が非常に早く、様々な合併症を引き起こしやすいため、「いかに早くリハビリを始めるか(早期介入)」が回復の大きな鍵となります。
廃用症候群予防のために大切なことは早期介入
廃用症候群予防のために大切なことは早期介入です。
例えば関節は、関節を動かさない状態が4日続くと、関節における結合組織の増加や癒着が出現し、60日以上経つと軟骨が繊維化して非可逆性の状態となります。つまり固まって動かなくなるし、傷ついた時に元に戻りにくい・戻らなくなってしまうのです。
他にも筋力は、1週間の安静で約10〜15%の低下が認められます。その落ちた筋力を取り戻すには3倍の日数が必要になると言われています。
それだけでなく、様々な器官も徐々に機能が低下し、他の病気にもかかりやすくなります。他の病気になれば治療で安静にする必要性が出てきて、より身体を動かすことが困難になっていくかもしれません。
また、その影響は、身体的な機能だけでなく、精神面や認知機能の低下にも関わります。
つまり、廃用症候群は、進行が早いうえに様々な合併症にも繋がりやすいため、早期介入が回復の鍵になるのです。
廃用症候群予防のための「ベッド上でできるリハビリ」を紹介します
例えば、寝たきりの状態からリハビリを開始する場合、ベッドでの寝たきり状態→座位保持→立位・歩行
といった具合に動作レベルを上げていきます。
その第一歩としてベッドに寝た状態でも行えるリハビリをいくつか紹介します。
廃用症候群予防のための「ベッド上でできる関節可動域訓練」
関節を動かすことで、関節拘縮を予防します。
自分の力で動かすことができれば、時間に関係なく訓練を行うことができます。自分の力で動かす自動運動だけでなく、他者が関節を動かす他動運動でも効果はあります。
廃用症候群予防のための「ベッド上でできる筋力トレーニング」
筋萎縮や筋力低下を防ぎます。
手足をグーパーと動かして開閉させたり、片脚を胸に近づける、仰向けで足を上下させる、腕を伸ばして上げる、両膝を立てて片足を片側に倒すなど、手足、下肢、上肢、体幹のそれぞれに効く運動は様々あります。
手をグーパー開閉させるトレーニング:手指の筋力低下、筋萎縮、関節拘縮を予防
両膝を立てて片足を片側に倒すトレーニング:股関節の筋萎縮、関節拘縮の予防
廃用症候群予防のための体位変換(ポジショニング)
寝ている時の体の向きを定期的に変えます。褥瘡予防です。
特に踵や仙骨、大転子部といった突出した箇所は褥瘡が起こりやすいため、体位変換で長時間皮膚を圧迫しないように気をつける必要があります。
足を伸ばして眠ることで、同じ姿勢を続けることで関節が屈曲したまま固まるのも防ぎます。
廃用症候群予防のための「ベッド上でできる基本動作練習」
まずはベッドのギャッジアップを上げてから。徐々に角度を増やして、90°座位まで。
座位になるということは、体幹筋を使っているということです。それだけでなく、体位変換時の血圧や体内の圧力(腹圧など)の変化に対する耐久性も向上が見込めます。
これにより、座位になってきつい思い、気分が悪くなるようなことを起こしません。「座位ができる」というのは離床の大きな一歩です。
早期回復のために重要な「ベッド上でできるリハビリ」
たったこれだけのことかもしれません。されど、それが重要な積み重ねです。1日2回各関節を3回ずつ可動域全体に動かすことで拘縮を予防できた例も報告されています。
関節一つ、筋肉一つ、少しでも動かせるだけで、できることは増えます。それは大事な一歩です。
参考図書:標準理学療法学・作業療法学専門基礎分野老年学第5版 シリーズ監修:奈良勲、鎌倉矩子/編集:大内尉義