遂行機能障害とは物事を順序立てて実行することが難しくなり、仕事や家事などの段取りが悪くなること。
遂行機能障害になると、例えば「お茶を入れる」ケースでも、手順どうりにできなくなったり動作ができなくなったり、時間がかかるようになります。
遂行機能障害のリハビリテーションでは、段階を分けながらプログラムを組んで、リハビリテーションを実施していきます。

(関連リンク)
遂行機能障害を評価するウィスコンシンカードソーティングテストとは?

実際の遂行機能障害のリハビリテーション ~お茶を入れる~

「お茶を入れる」ケースを例に、実際のリハビリテーションを具体的に紹介します。

お茶を入れる手順・動作

  1. お湯を沸かす
  2. 茶葉を急須に入れる
  3. お湯が沸いたら茶葉が入った急須にお湯を入れる
  4. 急須からお茶を湯呑に注ぐ

さらに、1の「お湯を沸かす」という動作を細分化します

  • (1-a) 水を注ぐためにポットや薬缶の蓋をあけます。
  • (1-b) そして蛇口を捻りポットや薬缶に水を注ぎます。
  • (1-c) ポットであればコンセントに繋ぐ。薬缶であれば火にかけます。
  • (1-d) お湯が沸いたらスイッチを切る。火を止める。

「お湯を沸かす」だけでも少なくてもこれだけの順序や動作が必要になります。

「お湯を沸かす」を細分化して行うリハビリテーションとは?

1の「お湯を沸かす」を細分化した”1-a 1-b 1-c 1-d”を紙に書き視覚化します。視覚化できたら読み上げてもらいます。
その中で1の「お湯を沸かす」ためには、ポットや薬缶の蓋をあけるという点に着目します。
実際に道具を用意し、”1-a”の蓋をあける動作を繰り返します。最初は上手くいかないこともありますが根気よく繰り返します。

“1-a”ができるようになれば、”1-b 1-c 1-d”と同様に進めます。
”1-a 1-b 1-c 1-d”が単独でできるようになれば、“1-a 1-b”や“1-b 1-c”のように工程を小分けして訓練していきます。

一通り”1-a 1-b 1-c 1-d”の動作を通して行えるようになれば、2の「茶葉を急須にいれる」動作に移行します。
残りの工程を同様に繰り返し、1~4までの動作が通して行えるようになるまで繰り返し反復します。

脳血管疾患を原因とする遂行機能障害のリハビリテーションは臨機応変に

最後に、遂行機能障害の患者様の半数以上が脳血管疾患を原因とします。
脳血管疾患を患った方は遂行機能障害単体で症状が出現するわけではなく、注意障害など様々な高次脳機能障害を併発することがあり、上手くリハビリが進まないケースもでてきます。
日によって症状の程度も違うため、上手くリハビリが進まないケースでは方法を変えたり、環境を整えたりするなど、臨機応変にリハビリプログラムを変更していく必要があります。

女性が水を注ぐためにポットの蓋をあける写真
1-a 水を注ぐためにポットややかんの蓋をあける
女性が蛇口を捻りポットに水を注ぐ写真
1-b そして蛇口を捻りポットや、やかんに水を注ぐ
女性がポットにコンセントに繋ぐ写真
1-c ポットであればコンセントに繋ぐ、やかんであれば火にかける
女性お湯が沸いたのでスイッチを切る写真
1-d お湯が沸いたらスイッチを切る。火を止める