骨盤輪とは「いわゆる骨盤」のことで、仙骨と左右の寛骨が2つの仙腸関節と恥骨結合に連結されて構成されています。
骨盤輪不安定症になると、その結合部分が緩み様々な症状を引き起こします。
産前産後に多い骨盤輪不安定症に効果のある運動療法を紹介します。
自宅でもできる簡単なストレッチと筋力トレーニングです。どうぞ、ご自身の体調に合わせて行ってください。
骨盤輪不安定症とは?
外傷によるケースや産前産後の女性に多く見られます。
産前はリラキシンというホルモンの作用により骨盤内の靱帯が緩み、症状が出るとされています。
産後は赤ちゃんが産道を通ったために、骨盤が広がっています。その骨盤の広がりが戻らず、緩んだり変形したりすることにより起こります。
骨盤輪不安定症の症状
- 骨盤周囲の痛み
- 尾骨、恥骨、腰部、股関節、膝関節への痛み
- 尿漏れ感
- 下半身のだるさ
骨盤輪不安定症の治療
薬物療法、運動療法、装具による骨盤帯の固定などが挙げられます。
- 薬物療法
- 痛みを軽減させるための薬の服用。妊娠中や授乳中の方には薬物療法は注意が必要。
- 運動療法
- 骨盤周囲筋の筋力強化や柔軟性の向上を図る。
- 装具固定
- 緩んだ骨盤を装具によって一時的に固定する。
- 徒手療法
- 骨盤周囲の筋緊張を緩和させる。
骨盤輪不安定症の運動療法(ストレッチ、筋力トレーニング)を紹介します
骨盤輪不安定症の運動療法のストレッチや筋力トレーニングを紹介します。
妊娠中・産後の方は、からだの負担となりうるため回数を少なくする。1セット少なめに行うなど体調に応じて行いましょう。
骨盤周囲筋のストレッチ
- 目的
- 腸腰筋をストレッチ。
- 方法
- 仰向けの状態から、片方の足を抱え込むように体の方へ近づける。その際、もう片方の足は伸ばしたままに。
- 実施時間
- 片方の足につき、20秒間ほどを3回ずつ。
- 注意点
- 抱え込んでいない方の足が床から離れないようにしましょう。
お尻上げ運動
- 目的
- 殿筋とハムストリングスの筋力強化。
- 方法
- 仰向けの状態で膝を立てる。その状態からお尻を天井の方へ持ち上げる。
- 実施時間
- 20回を2セット。
- 注意点
- お尻を持ち上げた際に、肩甲骨まで上げるようにしましょう。
足上げ運動
- 目的
- 腸腰筋の筋力強化。
- 方法
- 仰向けの状態から股関節を曲げる。その際に膝をしっかり伸ばした状態で足を上げましょう。
- 実施時間
- 20回を2セット。
- 注意点
- 足を上げた際に体が床から離れて反らないようにしましょう。体から足を一直線に。
股閉じ運動
- 目的
- 股関節内転筋群の筋力強化。
- 方法
- 仰向けの状態から膝を立てて、両膝の間にクッションやタオルなどを挟む。その状態から、両膝でクッションを挟むように力を入れる。内側に向けて力を入れる際に、息を吐きながら行いましょう。
- 実施時間
- 10回を2セット。
- 注意点
- タオルを使う際は普通にたたんである状態ではなく、ぐるぐる巻きにして使うと力が入りやすくなる。
股開き運動
- 目的
- 股関節外転筋群の筋力強化。
- 方法
- イスに座った状態から、両足はつけたまま両膝を外に開く。その際に手は両膝を内側に戻すように力を入れる。
- 実施時間
- 10回を2セット。
- 注意点
- 手の力は自分の足の力に応じて、負荷をかけていきましょう。