モートン神経腫とは、足指の神経が圧迫されることで障害され、おもに足指の中指(第3趾)と薬指(第4趾)の間にしびれ、疼痛や知覚異常などがおきる疾患です。
モートン神経腫の患者数は、靴を履いている時間が長くなった日本人の生活スタイルの変化や認知度が上がったことで、近年増加傾向にあります。
モートン神経腫は、ハイヒールなどの靴や長時間のつま先立ちが原因とされています。原因は外反母趾とよく似ていますが、病態は外反母趾が親指の変形であるのに対し、モートン神経腫は足指の間に生じる神経障害です。
原因となりやすい方
先の細い靴、ハイヒールや中腰の作業でつま先立ちの姿勢が長時間続くと、足先がギュッと締め付けられます。
足が締め付けられた状態で長時間つま先立ちする習慣があると、中足骨間を繋ぐ靱帯(深横中足靱帯)の下の足底部を通過し足指に向かう神経が、靱帯と地面の間で圧迫されて神経障害が生じます。
さらには、圧迫される部分の足底部に、痛みを伴う神経腫ができることもあります。
女性の患者数が男性に比べ10倍位多く、50代以降の女性に患者様が多い原因は、先の細い靴やハイヒールを日常的に履く習慣と推察されます。
モートン神経腫の症状
靴を履いての歩行時に、足指間にしびれや疼痛、足指への放散痛があります。灼熱感を感じることもあります。
さらには、足底部に痛みを伴う神経腫ができることがあります。
症状が悪化すると、安静時にも訴えるほど痛みが強くなることもあります。
症状はおもに足指の中指(第3趾)と薬指(第4趾)の間に現れますが、人差し指(第2趾)と中指(第3趾)間、薬指(第4趾)と小指(第5趾)間にも現れることもあります。
モートン神経腫の問診と検査
まず、問診にてモートン神経腫に該当する症状があるかどうかを確認します。必要があれば、患部が神経のためMRI検査とエコー(超音波)検査を行います。
- 足指間にしびれや疼痛、足指への放散痛、灼熱感を感じるかを伺う。
- 靴を履くと痛みを覚え、脱ぐと痛みが消えるかを伺う。
- 足指の付け根を横から握って、足指間に痛みを覚えるかを確認する。
- つま先立ちをして痛みを覚えるかを確認する。
モートン神経腫の治療
モートン神経腫の治療は、基本的には保存的療法を選択します。保存的療法を行っても症状が改善しない場合には、手術療法を考慮します。
- 先の細い靴やハイヒールを履くことを避けてもらう。
- つま先立ちの姿勢をなるべく取らない。
- クッション(化粧用のパフで代用できます)や中足骨パッドを足指間に入れて様子を見る。改善しなければ、患者様の足に合わせて足底板(インソール)を製作し使用する。
- 薬物療法:痛み止め剤の服用。患部へのブロック注射は数回で約半数の患者様に効果が見
られる。