スポーツをしている中学生や高校生が「腰がとても痛い」と訴えて来院されると、私たちは腰椎分離症を疑います。その理由は、13~18才までが腰椎分離症の患者の90%を占めるからです。
腰椎分離症とは、スポーツや部活動で腰を激しくひねる動きを続けることにより腰椎の後方部分の椎弓が疲労骨折を起こした状態です。
早期発見と早期治療が完治につながります。早期に病院で適切な検査・診断と治療を受けて、きちんと骨癒合させて治してしまえば、元のようにスポーツや部活動が可能です。
中高生にとって、病院で検査や治療を受けることはハードルが高いことではありますが、面倒くさがらずに病院できちんと治療を受けましょう。
また、ご家族や指導者の方は、スポーツを頑張っている中高生が腰の痛みを訴えていたら、すぐに病院で受診することを是非お勧めください。
腰椎分離症になりやすい方と原因
腰椎分離症になりやすい方は、スポーツをしている中学生や高校生、とくに多いのは体が柔らかい中学生です。
スポーツや部活動で腰を激しくひねる動きを続けると、腰椎の後方部分の椎弓が疲労骨折を起こします。
腰椎分離症は疲労骨折なので、1回のケガで骨折するわけではなく、スポーツや部活動の練習などで繰り返し腰をひねることで起こります。
具体的になりやすいスポーツは、腰をひねる回数の多い野球、バレーボールやテニスなどです。より練習量が多い人ほどなりやすい傾向があります。
腰椎分離症の症状
ほとんどの場合、腰椎分離症は第5腰椎にみられます。 腰痛が主な症状です。痛みの程度は、分離(疲労骨折)の状態によってさまざまです。 腰を後ろに反らした時や運動時に、痛みがより強くなるのも特徴です。
腰椎分離症は治療せずにいると骨折部が骨癒合せず、腰痛が残存し以下の状況がおこる可能性があります。
- スポーツ選手はパフォーマンスが落ちてしまう。
- 将来、スポーツをした時などに腰痛が出やすくなる。
- 大人になって慢性腰痛になる。
- 大人になって分離すべり症になる。
城内病院の腰椎分離症の検査
腰椎分離症は早期発見して早期治療につなげることが大切です。検査では、まずレントゲン(X線)を撮ります。
腰椎分離症の早期には、レントゲンでは分離部が不明瞭な場合が多く、CT検査とMRI検査を追加します。CT検査とMRI検査は、発症してからの経過期間の判断に有用です。
反対に、レントゲンですでに分離部が明瞭な場合は、発症後数ヶ月以上経過したと考えられ、骨癒合する可能性は低くなります。
城内病院の腰椎分離症の治療
腰椎分離症の治療で最も大切なことは、発症(初めて激しい痛みを覚えた時)早期に治療を始めることです。
発症して3週間以内に適切な治療を行えば、充分に骨癒合が期待できます。骨癒合した骨は一層強くなって、その骨が再び分離することはほぼありません。しかし、分離した腰椎以外の腰椎が分離することはありえます。
発症早期で骨癒合が期待できる場合には、スポーツや部活動を一旦休止して、3ヶ月間、装具療法(軟性コルセットを装着)を厳重に行っていただきます。軟性コルセットを装着していても日常生活は可能です。
経過を観察しながら、3ヶ月後にCT検査を行い、骨癒合の状態を確認します。 骨癒合していない場合はもう3ヶ月、計6ヶ月装具療法を続けることになります。
計6ヶ月装具療法を行っても骨癒合しない場合は、治療を中止せざるを得ませんが、骨癒合しない状態が残存すると、大人になってスポーツをすると腰痛が出やすい傾向があります。
発症後数ヶ月以上経過したと考えられ骨癒合する可能性が低い場合は、スポーツ制限や装具療法を長期に行う意義は少ないと考えます。