デュピュイトラン拘縮は、拘縮索(こうしゅくさく)が収縮することで、手指が徐々に曲がって伸ばせなくなる病気です。拘縮索とは、手掌腱膜(しゅしょうけんまく:手のひらの皮膚の下にはある線維性の膜のこと)に体内で産生されたコラーゲンが異常に沈着してできた太い束のことです。

城内病院整形外科の手外科について

デュピュイトラン拘縮はどのような症状がありますか?

手のひらに、数珠状のコリコリとした凝り(しこり)や瘤(こぶ)のようなものができます。薬指や小指につながる手掌腱膜にできることが多く、症状が進行すると皮膚が引きつれて、徐々に手指が伸ばせなくなります。
両手にできることが多く、他の指や足の裏にできることもあります。

デュピュイトラン拘縮のイラスト
出典:一般社団法人 日本手外科学会 手外科シリーズ 17.デュピュイトラン拘縮

たいていの患者様に痛みはありません。しかし、手指が曲がって伸ばせなくなると、日常生活の動作に支障がでます。
自然に治る病気ではないため、日常生活や仕事に支障があれば治療が必要です。

原因と病態について

現在のところ、原因は解明されていません。圧倒的に中高年の男性に多くみられます。糖尿病や長期にわたるアルコール摂取が関係しているとの報告もあります。

手のひらの皮膚がひきつれて指を伸ばせなくするのは、皮下にある線維性の手掌腱膜に体内で産生されたコラーゲンが異常に沈着してできた太い束(拘縮索)が収縮するためです。

デュピュイトラン拘縮で、皮下にある線維性の手掌腱膜に体内で産生されたコラーゲンが異常に沈着してできた太い束(拘縮索)のイラスト
出典:一般社団法人 日本手外科学会 手外科シリーズ 17.デュピュイトラン拘縮

デュピュイトラン拘縮の診断について

多くの場合、患者様は、手のひらにコリコリとした凝りがあるといって来院されます。触診・視診を手外科専門医が行えば、診断がつきます。
また、テーブルトップテストは、テーブルの上に手のひらを、隙間なく置くことができるかを確かめる検査です。疾患がある場合は、テーブルと手の間に隙間ができます。

症状が似ている病気と区別するために、X線(レントゲン)検査を行う場合もあります。

城内病院でのデュピュイトラン拘縮の治療

手のひらに凝りがあるだけで症状が軽ければ、そのまま様子をみるかザイヤフレックスでの保存的療法を選択します。
日常生活や仕事に支障をきたすほど、手指が伸ばせない状態ならば、手術療法を選択します。

保存的療法 ザイヤフレックスによる酵素注射療法について

酵素注射療法は、デュピュイトラン拘縮治療剤ザイヤフレックスを、手指に出来た拘縮索に直接注射します。拘縮索の主な成分のコラーゲンを分解して断ち切り、収縮した拘縮索による手指の曲がった状態を改善すると考えられています。
入院の必要はありません。デメリットは、現在のところ、費用が高価なことです。

ザイヤフレックスでの治療は手外科専門医しか処方できません。唐津では城内病院と系列の保利クリニックだけとなります。

デュピュイトラン拘縮の手術療法

手指の皮膚を切開して、原因となっている厚く線維化した手掌腱膜と拘縮索を切除します。切除時に、手外科専門医は周りの神経や血管を損傷しないように、細心の注意を払います。

手術には入院が必要です。手術後は、手指の機能がしっかり回復するまでリハビリや装具の着用を継続します。入院期間はおよそ2~3週間です。

デュピュイトラン拘縮で、皮下にある線維性の手掌腱膜に体内で産生されたコラーゲンが異常に沈着してできた太い束(拘縮索)のイラスト
出典:一般社団法人 日本手外科学会 手外科シリーズ 17.デュピュイトラン拘縮