血液や筋肉、肝臓などに存在する鉄。赤血球を作り、酸素を全身に運ぶ働きを担っています。
この鉄が欠乏すると、貧血を起こします。頭痛や動悸、食欲不振、倦怠感などが現れることもあります。
鏡の前で“あっかんベー”をしてみてください。瞼の下は何色ですか?もし、瞼の下が白かったら、それは貧血であるサインです。
貧血を解消するには、食事において必要分の鉄を摂取する必要があります。そのためには調理を工夫して効率よく鉄を摂取することが大切です。
食品に含まれるヘム鉄と非ヘム鉄
食品に含まれる鉄にはヘム鉄と非ヘム鉄がありますが、体内への吸収率がいいのはヘム鉄です。非ヘム鉄も、ビタミンCや動物性のたんぱく質と一緒にとることで吸収率がUpします。
特に女性は月経や妊娠により血液が失われ、鉄が不足しがちです。また、胃切除術を受けた人も鉄の吸収が減るとされています。
特徴 | 食品 | |
---|---|---|
ヘム鉄 | 吸収率が高い。 動物性食品に多く含まれている。 | レバー、シジミ、赤身の肉・魚、など |
非ヘム鉄 | ビタミンCと一緒に取ることで吸収率が上昇する。 植物性食品に多く含まれている。 | ひじき、ほうれん草、大豆製品、ごま、など |
工夫して調理することで効率よく鉄を摂取しましょう
成人女性の1日の鉄摂取量の推奨量は10.5mg/dlです。
食品からの鉄の吸収率は15%と低いため、鉄を多く含む食品を使うことはもちろん、それらを効率よく摂取する必要があります。
鉄の吸収を促進する成分にビタミンCがあります。ビタミンCを多く含む野菜と一緒に調理しましょう。鉄製のフライパンや鍋で調理することで料理に鉄がしみ込み、鉄補給にもなります。
その反対に、タンニン(赤ワインや緑茶)、カフェイン(コーヒー)、食物繊維は鉄の吸収を阻害します。
鉄を多く含む料理を2品紹介します
ひじきの煮物(2人分)(1人分あたり 鉄 5.4mg)
作り置きして常備菜として食卓においてもいいですね。大豆の代わりに油揚げなど使ってもOK!
<材料>
- 乾燥ひじき 10g
- 水煮大豆 50g
- にんじん 20g
- 砂糖 4g
- 薄口しょうゆ 4cc
- ひじきは水洗いし、水で戻しておく。
- 人参は長さ2cmのひょうし切り(マッチ棒のように)にする。
- 鍋に人参と水を加え、煮る。
- ある程度煮えたら、ひじきも加える。このとき、材料が被るくらいの水量にする。
- 人参、ひじきがやわらかくなったら大豆を加え、調味する。
ほうれん草の卵とじ(2人分)(1人分あたり 鉄 2mg)
困ったときの1品にいかがでしょう。ほうれん草でなく、鉄分を多く含む小松菜や水菜で代用してもおいしいですよ。
<材料>
- ほうれん草 2株
- 卵 2個
- サラダ油 少々
- 砂糖 2g
- 薄口しょうゆ 8cc
- ほうれん草は水洗いし、さっと茹でる。
- 水気をしぼりとり、3cm程度に切る。
- 卵を割りほぐし、調味料を加え混ぜる。
- フライパンに油をひき、卵を加え炒める。
- 卵が半熟になったら、ほうれん草を加え炒める。
- 皿に盛り付け、完成。
文責:管理栄養士 高木麻衣