頭痛とは、骨膜、太い血管、硬膜、頭皮、頭を覆う筋肉、脳神経、上部頸髄神経などの組織が圧迫されたり、引っ張られたり、炎症を起こしたりした時、それが痛みとなって現れた症状の総称です。
日本で頭痛に悩まされている患者は4000万人もいると言われるほど、多くの人が経験する一般的な症状です。
一時的なものから慢性的なもの、また、軽度の痛みから日常生活に支障をきたすほどの激しい痛みまで、頭痛の原因、症状や程度は患者様によってそれぞれ異なります。
市販の頭痛薬で対処できる頭痛もあれば、すぐに病院で検査・診断を受ける必要がある重篤な脳疾患が原因の頭痛の可能性もあります。
頭痛は、1次性頭痛と2次性頭痛に分類されます。1次性頭痛は、特定の病気などが原因ではなく、頭痛そのものが病気である状態で、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛などにタイプ分類されています。
2次性頭痛は、脳腫瘍、脳出血、髄膜炎など他の病気やケガが原因で起こる頭痛で高いリスクを孕んでいる可能性があります。
2次性頭痛は重篤な脳疾患が原因になっていることもある
2次性頭痛は、原因となる疾患や障害があって、その結果として引き起こされる頭痛です。重篤な脳疾患が原因となることもあるため、注意が必要です。
原因となる代表的な疾患は、脳出血、くも膜下出血、脳梗塞、脳腫瘍、髄膜炎、脳炎、頭部外傷、高血圧、緑内障、副鼻腔炎など。
2次性頭痛が疑われる場合、病院でCTスキャンやMRIなどの画像診断、血液検査、神経学的検査などの検査で、原因となる疾患を特定し適切な治療を行うことが最も重要です。
2次性頭痛は重篤な脳疾患のシグナルの可能性
2次性頭痛を疑う症状には以下のようなものがあります。これらの症状は、重篤な脳疾患のシグナルの可能性があります。緊急性が高いので直ぐに病院で検査・診察を受ける必要があります。
- 突然の非常に激しい痛み
- 経験したことのないタイプの頭痛
- 発熱や発疹を伴う頭痛
- 神経症状を伴う頭痛:吐き気、嘔吐、めまい、手足の麻痺など
- 頭痛の持続時間・頻度の増加、痛みの増悪
1次性頭痛の3つのタイプとは?
危険な病気が原因ではないものの、頭痛の症状そのものが病気である状態です。それほど深刻にとらえる必要がない頭痛から、慢性的で日常生活に悪影響を与えるほどの頭痛まで、患者様によって様々な症状や程度が現れます。
1次性頭痛は、おもに片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛の3つのタイプに分類されます。なお、片頭痛と緊張型頭痛の混合型もあります。
痛みが強い片頭痛
片頭痛は女性に多く見られ、頭の片側(または両側)が脈打つようにズキズキと痛みます。吐き気や嘔吐を伴うこと、音や光、匂いなどに対して敏感になることもあります。
痛みは強く、4〜72時間ほど持続するため日常生活に支障を来すこともあります。
また、片頭痛が起こる前に目の前がチカチカする・目が回るなどの前兆が現れること、体を動かしたり入浴したりすると悪化することがあるのも特徴です。
片頭痛が起きるきっかけは、ストレス・精神的緊張、またそのストレスが解放されたとき、寝過ぎや寝不足、アルコールの摂取、女性ホルモンの変化(月経周期)、天候や気圧の変化、疲れ、空腹、肩こりなど様々です。
上記のようなきっかけで、脳の血管が拡張することで周囲の三叉神経が刺激され、刺激で発生する炎症物質がさらに血管を拡張して片頭痛が発症するのではと考えられています。
肩や首の筋肉の緊張から引き起こされる緊張型頭痛
緊張型頭痛は、肩や首の筋肉の緊張から引き起こされる最も一般的なタイプの頭痛です。
痛みは、後頭部、こめかみ、額を中心に圧迫感や締め付けられるような感じがあり、軽度から中等度の痛みがしばらく持続します。
日常生活に支障をきたすことは少ないですが、慢性化すると不快感が増します。
緊張型頭痛の原因は、頭、首、肩の筋肉の緊張によって血行が悪くなることとされていて、パソコン仕事で長時間同じ姿勢を強いられるなどの身体的ストレス、緊張状態が長期間続くなどの精神的ストレス、眼精疲労や運動不足などが引き金になっていると考えられています。
目の奥をえぐられるような鋭い痛みが生じる群発頭痛
群発頭痛は非常に強い痛みが特徴で、左右どちらかの目からこめかみ周辺(前頭部〜側頭部)に目の奥をえぐられるような鋭い痛みが生じます。発作中に目の充血、涙が出る、鼻が詰まるなどの症状を伴うこともあります。
群発頭痛は20〜40代の男性に多く見られ、発作の頻度や痛みの持続期間は患者様により異なります。発作が一度始まると非常に痛みが激しいため、安静を保つことが困難です。睡眠中に起こることが多く、激痛で目が覚めることがあります。
群発頭痛の原因は解明されていませんが、発作のきっかけは、飲酒、喫煙、血管拡張剤の服用、気圧の変化などと考えられているため、それらを避けて規則正しい生活を心がけることが重要です。