”動悸とは? ~健康上に問題がない動悸と医師の受診を受けるべき動悸~”では、動悸の定義、原因、種類、医師の受診を受けるべき条件などをお話ししました。
本記事では、病気が原因の動悸の診断・治療についてお話を進めていきましょう。
動悸に関連するおもな病気や状態
動悸は様々な病気や状態によって生じる可能性があります。おもな病気や状態を以下に挙げます。
不整脈
拍動が速くなる頻脈性不整脈は、発作性上室性頻拍・心室頻拍、心房細動・心房粗動、心室細動などに関連する。拍動が遅くなる徐脈性不整脈は、洞不全症候群、房室ブロック、徐脈性心房細動などに関連する。
心臓疾患
心臓機能が低下して、酸素をうまく運べなくなっている状態を補うために心拍数を上げることで、動悸が生じる。心筋梗塞や心臓弁膜症、拡張型心筋症などに関連する。
甲状腺関連の問題
甲状腺機能亢進症(バセドウ氏病など)。甲状腺ホルモンの過剰分泌により、動悸や不整脈が生じる。女性に多く見られ、動悸症状の他に手のふるえや多汗・疲労感・体重減少などの症状が現れることもある。
貧血
体内に貯蔵している鉄の量が減って赤血球を作れなくなり血液中の酸素が不足することで、心臓が酸素を運ぶために頻繁に拍動することで動悸がおきることがある。
不安やストレス
精神的なストレスや不安状態でパニック発作が生じ、発作の一部として動悸がおきることがある。
動悸がある場合に行う診断・検査
動悸の診断では、まず問診にて患者様の動悸症状が病気に関連するものかを判断するため、「動悸がおこる契機、頻度、持続時間」「病歴、服用している薬」「動悸に関連する喫煙などの生活習慣」などの項目を質問します。
また、血圧測定や聴診器を使って心臓や肺の状態を評価する身体検査も行います。
動悸が病気に関連すると疑えば、以下の検査を行って原因を特定します。個々の症状によって必要な検査は異なります。
心電図(ECG)
心臓の電気的な活動を記録し、心臓のリズムや拍動を評価するための検査。静止時や運動時の心臓の活動を見るために行われる。
ホルター心電図
4〜48時間またはそれ以上の期間、患者が日常生活を送りながら心電図を記録する検査。長期間の心臓の活動を評価することができる。
胸部X線検査
心電図検査で心疾患が疑われた場合に、心不全や肺疾患など不整脈の原因特定のためのより詳細な症状を確認するために行う。
心臓超音波検査(心エコー検査)
超音波を使って心臓の構造や機能を観察する検査。心臓の弁や壁、拡張状態などを評価して不整脈の原因となる疾患をさがす。
血液検査
貧血や血糖値、分泌している甲状腺ホルモンの値など不整脈の原因となる血液中の特定の異常を調べるために行う。
動悸の治療について
動悸の治療は、症状が軽度で一時的なものであれば、特別な治療を必要としない場合もありますが、症状が強く生活のレベルを低下させたり、放置すると血行動態に影響したり、生命をおびやかすものであれば、治療が必要となる場合があります。
治療は原因となる病気や患者様の状態によって異なるため、医師の診察を受けて適切な治療法を見つけることが大切です。
原因の病気を治療
診断・検査で特定された原因となる病気を治療することが重要。
不整脈が原因であれば、症状緩和のための抗不整脈薬の服用や生活をおびやかす脈が速くなる不整脈や脈が乱れる不整脈であれば根治させるために血管から心臓まで管を通して不整脈の原因になっている部分を焼くカテーテルアブレーションなどの治療法がある。
意識が低下する可能性のあるような脈が遅くなる不整脈では心筋に電気刺激を与えることで必要な心収縮を発生させるペースメーカーの植え込みが考慮されることもある。
薬物療法
不整脈や心臓弁膜症など特定の状態に対しては薬物療法が行われることがある。異常に速い脈を呈する不整脈は心拍数を調整する薬などが用いられる。
生活習慣の改善
カフェインの摂取量の制限、タバコの禁煙、適度な運動やバランスの取れた食事、ストレスの軽減など生活習慣の改善が重要。
手術療法心疾患などで生命リスクの高い状態では手術が必要となることがある。例えば、心臓弁膜症の場合には弁の修復や置換手術が行われる。
心理的サポートやストレス軽減
不安やストレスが動悸の原因のケースでは、心理的なサポートやストレス軽減法が有効。カウンセリングやリラクゼーション法などを取り入れましょう。