足関節骨折は、足が固定された状態で直接外力が加わり、捻りや横方向・縦方向への力が足関節に及んだときに起こる骨折です。脚の骨折で最も頻度の高い骨折とも言われます。
この骨折は関節内骨折のため、治療の目的は足関節の骨のずれを元に戻すことです。

足関節は強靭な靱帯で脛骨と踵骨とが結ばれており、骨折の際にこれらの靱帯が断裂する場合もあります。
靭帯が断裂すると足関節が不安定となり痛みが残り、関節軟骨が傷んでしまうことで変形性関節症へと移行することがあります。
そのため治療に関しては靭帯にも十分な注意が必要です。

足関節骨折の治療について

骨のずれの程度が低い場合は、保存的療法(ギプス固定など)が行われますが、多くの場合は手術療法が必要になります。

足関節骨折の保存的療法

靱帯が切れておらず、骨折があってもずれが無い場合はギプス固定などを行います。 この場合、骨折している足に荷重をかけることができません。そのため片足での歩行となり、松葉杖・歩行器もしくは車椅子を使用する生活になります。

足関節骨折の手術療法

多くの場合は手術療法となります。
基本的には骨折した骨を元の位置に整復し、足関節を動かしても骨がずれないようにスクリューやプレートを用いて骨折部を固定します。
骨折だけでなく、靱帯が切れていた場合や靱帯が付着している骨がはがれている場合はその部位も修復します。

足関節骨折手術後の治療計画(プロトコール)について

手術後のリハビリは医師の治療計画(プロトコール)に沿って実施します。
患者様の年齢や状態によって治療計画は異なりますが1例を紹介します。

術後~ ギプス固定。
3週~ ギプス除去、足関節の可動域訓練開始。
6週~ 1/3荷重開始:体重の1/3をかけ始めます。
7週~ 2/3荷重開始:体重の2/3をかけ始めます。
8週~ 全荷重開始:制限なく体重をかけます。

足関節骨折手術後のリハビリを具体的に紹介します

物理療法(渦流浴・アイシング)

患者様の状態にもよりますが医師の指示により過流浴を実施します。
目的は筋緊張を緩和、関節可動域の向上。
リハビリ後、熱感がある場合はアイシングで冷やします。

物理療法、渦流浴の写真
渦流浴
物理療法 アイシングの写真
アイシング

ストレッチング、リラクゼーション

足関節を骨折してしまうと、足関節周りの皮膚やふくらはぎなどの筋肉が硬くなったりします。そのためストレッチングやリラクゼーションを行い、筋肉や皮膚などの柔軟性を高めます。

関節可動域訓練

手術や長期間の固定によって固まってしまった足関節を動かすことで可動域向上を図ります。ストレッチングやリラクゼーションのあとに足関節を動かすことで、より効果的に可動域を向上させることができます。

筋力増強訓練:カーフレイズ(つま先立ち)・スクワット

医師より荷重許可がでれば、積極的に下肢の筋力訓練を開始します。
つま先立ち及びスクワットなどを行い、足首で体重を支持できるように訓練します。

筋力増強訓練:カーフレイズ(つま先立ち)の写真
つま先立ち
筋力増強訓練:スクワットの写真
スクワット

アンクル(足首、くるぶし)訓練

セラバンド(リハビリ用のゴムバンド)を使用し、足関節の力を向上します。

アンクル(足首、くるぶし)訓練の写真

足趾(足指)の自動運動:ビー玉掴み・タオルギャザー

足関節だけでなく、足趾から運動を促します。また神経や感覚再教育のリハビリにもなります。

足趾(足指)の自動運動 ビー玉掴みの写真
ビー玉を足指で掴んで運ぶ
足趾(足指)の自動運動 タオルギャザーの写真
タオルを足指で掴み寄せる

バランス訓練:エアスタビライザー

エアスタビライザー(不安定板)の上で足関節の運動を行います。
バランス能力改善及び安定した足関節の動きを促します。

バランス訓練 エアスタビライザーの写真1
1.かかとで押す
バランス訓練 エアスタビライザーの写真2
2.つま先で押す

エルゴメーター

エルゴメーター(エアロバイク)を漕いで持久力向上を図ります。

エルゴメーター(エアロバイク)の写真

荷重訓練・歩行訓練

荷重訓練にあわせて、歩行訓練も行います。
足関節の動きが悪いと跛行(正常に歩けないこと)が出てしまうので、足関節の可動域訓練をしっかりと行ってから歩行訓練を行います。

足関節骨折には正しい診断と治療が必要です

足関節骨折は非常に多い骨折です。歩行する時には、全体重が足関節にかかりその負担は大変なものです。
足関節の関節面が受傷前の状態に戻っていない場合、足関節は変形性関節症へと移行して関節の動きが悪くなり、痛みが残ることがあります。

ですから、足関節骨折は正しい診断と治療・リハビリを必要とする怪我・骨折です。足を捻って足首が痛くて腫れているときは、歩けるから大丈夫と思わないで、すぐに受診されることをお勧めします。