最近テレビや新聞などでよく耳にするロコモティブシンドローム(ロコモ:運動器症候群)。
ロコモとは、加齢による筋力の低下や関節の病気などで運動機能が衰えて、要介護や寝たきりのリスクが高い状態にあることを表す言葉です。
城内病院リハビリ部では、高齢者の患者様にロコモ予防のための運動や食生活を指導しています。
今回は、経験豊富な理学療法士が読者の皆様も自宅でできる簡単なロコモ予防の運動や食生活を紹介します。
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ロコモにならないための2つの運動
ロコモを予防するための2つの運動を紹介します。
紹介する2つの運動を毎日継続して、ロコモにならずに元気な生活を送りましょう。
バランス能力を鍛える片脚立ち運動
目的:
歩行時のふらつきをなくすために、必要な股・膝・足首全体のバランス能力を鍛える。
方法:
床につかない程度に片脚を上げる。左右1分間ずつ1日3回。転倒防止のため必ず何か掴むものがある場所で行う。
注意点:
姿勢をまっすぐにして行う。支えが必要な方は十分注意して片手や両手をついて行いましょう。
下肢筋力を鍛えるスクワット
目的:
普段の生活で体を支えるために必要な太もも・膝周囲の筋力を鍛える。
方法:
肩幅より少し足を広げて立つ。つま先は30度ほど広げる。膝がつま先より前に出ないようにして、お尻を引くようにして体を沈める。
注意点:
動作中は息を止めないように。太ももに力が入っていることを確認しながら行う。
支えが必要な方は机などに手をついて行いましょう。
ロコモ予防となる食生活とは?
運動の後はしっかりと食事をしましょう。食生活を改善することは、ロコモを予防する1つの方法です。
規則正しい食生活でロコモにならない
近年問題になっている高齢者の栄養不足は、食が細くなることに原因があるといわれています。その対策は、規則正しい時間に食事を摂ることで生活リズムを整えて元気な状態を保つこと。
また、3回の食事以外に午前と午後のおやつを加えて、不足した栄養を摂ることも良い対策でしょう。
太りすぎや痩せすぎにも要注意
中高年の男性の2人に1人、女性の5人に1人がメタボリックシンドローム(メタボ)、または、その予備軍と言われています。
メタボは動脈硬化を進行させ、心臓病など命にかかわる病気を招く危険性があることがよく知られています。
しかし怖いのはそれだけではありません。肥満になると増えた体重分の負担が腰や膝にかかり、ロコモの原因となるのです。
一方、ダイエットや食欲不振などによって栄養が不足すると、骨や筋肉の量が減ってしまいます。
とくに若い女性の極端なダイエットや高齢者の低栄養状態は要注意です。
ロコモにならないためには、太りすぎや痩せすぎにならないように食事に気を付けることが重要です。
5大栄養素をバランスよく摂りましょう
健康に生きていくために必要な栄養素は、炭水化物、脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラルのいわゆる5大栄養素です。
1日3回の食事に主食、主菜、副菜を揃え、牛乳・乳製品や果物なども組み合わせると、5つの栄養素をバランスよく摂ることができます。
楽しく食べる工夫を!
きちんとした栄養を摂るためには、食べたくなるような工夫も必要です。
和食・洋食・中華など献立に変化をつけたり、色の濃い野菜などを取り入れて食卓を彩り豊かにするといいでしょう。
また、家族や親しい人達と一緒に食卓を囲んだり、外食やアウトドアでの食事も効果的です。
盛り付けや器などの見た目も工夫して、楽しく食事をしましょう。