腰部脊柱管狭窄症は、腰椎椎間板ヘルニアと同じように、坐骨神経痛を呈する病気です。 脊柱管の中に存在する硬膜が圧迫されることで、硬膜内の神経の血流が低下して、下肢に痛みやしびれが出る坐骨神経痛をおこします。

特徴的な症状である間欠性跛行は、しばらく歩くと足に痛みやしびれが生じ、少し休むとまた歩けるようになる症状です。 

今回は、腰部脊柱菅狭窄症の保存的療法と手術療法後のリハビリテーションにおいて、実際に城内病院リハビリ部で行う運動療法を詳しく紹介します。

(関連リンク)
整形外科の記事:腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱菅狭窄症の保存的療法のリハビリテーション

腰部脊柱菅狭窄症の保存的療法では、薬物療法、注射療法や運動療法などが選択されます。リハビリ部が担当する運動療法は、症状の増悪予防を図ることを目的とし、生活指導を交えながらリハビリテーションを実施します。

寝た状態で痛みが出現する場合の運動療法

寝た状態で痛みが出現する場合の運動療法は、できるだけ安静にし、ベッド上で無理のない範囲でからだを動かしていきます。

発症して間もない急性期は疼痛が強く、とくに反らす方向にからだを動かすと脊柱管の狭窄が悪化するために疼痛が強くなります。 日常生活やリハビリ中は、からだを反らす動きやうつ伏せなどにならないように動作指導を行います。

寝た状態で痛みが出現する場合に行う腹式呼吸の運動療法を紹介します。

腹式呼吸

体幹のインナーマッスル(腹横筋・多裂筋・横隔膜など)を鍛える運動です。
腹筋に力を入れることで腹圧が高まり、脊柱への負担が軽減し痛みやしびれが減少します。仰向けで腰への負担が少ないことが特徴です。
回数は10回程度です。

腹式呼吸を行うときの姿勢で横たわるリハビリスタッフ
腹式呼吸を行うときの姿勢

歩行中に痛みやしびれが出現する場合の運動療法

痛みやしびれが落ち着くまで、椅子に座るなどの休憩を入れながら歩く練習をします。

腹筋運動

仰向けで両膝を曲げ、バランスボールに足をのせて腹筋運動を行います。
足部がバランスボールによって安定しないため、腹筋に自然と力が入り、効率よく腹筋を鍛えることができます。
回数は10回程度×2セット。

バランスボールに足をのせて腹筋運動をするリハビリスタッフ

腰部脊柱菅狭窄症の手術療法後のリハビリテーション

手術直後はベッド上での安静が必要となります。術後翌日から、ベッド上で血栓予防のために足首の運動を行います。

足首の上下運動

足部を上下に動かす運動を3分程度続け、1時間に2回程度定期的に行うことで、足の血流の循環を改善します。

足首の上下運動で上方向へ向けた足首
1 上:頭の方向へ 
足首の上下運動で下方向へ向けた足首
2 下:床への方向へ

術後はベッド上での生活が多いため、急に起き上がる動作や立ち上がる動作は、めまいや気分不良を起こすリスク(起立性低血圧)があります。そのため術後の運動療法中は血圧管理が必要となります。

腰部脊柱菅狭窄症 術後6週までのリハビリプロトコール

リハビリ部では、プロトコール(リハビリテーションの治療計画・手順)に沿って手術後のリハビリを実施します。
最初は腰に負担をかけないように、ベッドのヘッドアップ機能を利用して、徐々に体を起こす練習をします。

術後6週までは、リラクゼーション・ストレッチ・下肢の筋力訓練を中心に行います。
Core-ex(体幹筋、足腰の筋力訓練)も実施していきます。術創部などに負担のかからない範囲でリハビリテーションを行います。

  • 術後1日目:ヘッドアップ30°
  • 術後2日目:ヘッドアップ60°
  • 術後3日目:ヘッドアップ90° トイレまでの歩行器歩行開始
  • 術後5日目:リハビリ室内での歩行練習開始(術後2週までは歩行器歩行)
  • 術後6週迄:リラクゼーション・ストレッチ・下肢の筋力訓練、Core-ex(体幹筋、足腰の筋力訓練)
  • 術後6週~:腹筋・背筋など体幹筋トレーニング開始

腰部脊柱菅狭窄症 術後6週からの運動療法

術後6週からは、積極的なCore-ex(腹筋・背筋など体幹筋、足腰の筋力訓練)を行います。
腹筋運動やバランスボールを使用しての体幹筋トレーニングを紹介します。

腹筋運動

仰向けにて両膝を立てます。体を曲げた際に疼痛が生じるのであれば、首を曲げてへそをのぞくようにするだけで腹筋に力が入ります。
腹筋運動を行うことで、術後低下したお腹周りの筋肉が鍛えられて腰部がより安定し、歩行時などのしびれや痛みが減少します。
回数は10回程度×2セット。

腹筋運動をするリハビリスタッフ

ブリッジ運動

仰向けの状態にてお尻上げを行うことで、背筋・お尻の運動を行います。
腹筋運動と同様で低下した筋肉を鍛えることで、立つ動作や歩く動作がスムーズに行えます。
回数は10回程度×2セット。

ブリッジ運動のスタートポジションをとるリハビリスタッフ
1 スタートポジション
ブリッジ運動でお尻を浮かせるリハビリスタッフ
2 お尻がしっかり浮くまで上げていきます

体幹筋トレーニング:バランスボール

バランスボールに座ることにより腹筋や背筋に自然と力が入り、姿勢を崩さないように腹筋や背筋の力が協調的に働くようになります。
30~60秒程度座ってもらいます。

バランスボールに座るリハビリスタッフ

腰部脊柱管狭窄症 自宅でできるウィリアムス体操

ウィリアムス体操は、背中を丸めて腰の筋肉を伸ばしていくエクササイズです。
腹筋・お尻の筋肉・太ももの筋肉・背筋のストレッチを行うことで、 腰部にかかる負荷を軽減していくことを目的とした体操です。
痛みが出ない回数や時間で行って下さい。ストレッチは15秒程度伸ばした状態でキープします。

腹筋の筋力強化

腹筋運動をするリハビリスタッフ

骨盤の傾斜運動

骨盤の傾斜運動をするリハビリスタッフ

太ももの筋肉のストレッチング

太ももの筋肉のストレッチングをするリハビリスタッフ